交通費の計算方法とは?経理担当者が知っておきたい基礎知識と注意点

従業員に支給する交通費は、毎日の通勤のための交通費と出張や営業による移動のための交通費に分かれます。それぞれ会社が負担することになりますが、税制上の扱いや計算方法が異なり、国で細かく規定されている事柄もあるため、間違えないよう正確な処理が必要です。そこで、経理担当者として理解しておきたい基礎知識や注意点などについて説明します。

本記事の内容:経理担当者が知っておきたい交通費計算の基礎知識や注意点

会社が交通費を支払う必要性

通勤に必要な交通費は、毎月の給与と一緒に「通勤手当」として振り込んでいる会社がほとんどでしょう。そもそも交通費は会社が支払う必要性はあるのでしょうか。

通勤交通費の支給について

多くの会社では、自宅から会社までの通勤のために必要な電車賃やバス賃、ガソリン代などを支給しています。交通費は仕事をするために欠かせない必要経費のような位置づけです。もし、交通費が支給されず自己負担ということにでもなれば、多くの人が「職住接近」で、自宅近くの狭いエリアの中で就職することになるでしょう。これでは、就職の際の選択肢が極端に絞られてしまい、会社としても、幅広く有能な人材を確保できないかもしれません。

しかし、意外に思われるかも知れませんが、会社が通勤にかかる交通費を支給しなければならないという法律はありません。会社法や労働基準法などで従業員への交通費支給を強制するような条文は含まれていないのです。つまり厳密に言えば、会社は従業員の交通費を負担する必要性はないと言えます。

現に、通勤手当を支給していない会社や、通勤手当の上限を決めている会社、定期券や回数券を現物支給している会社がありますが、小規模な企業がほとんどで、従業員が300人以上の規模の会社のほぼ100%は通勤手当制度を採用しています。(※2009年 厚生労働省「就労 条件総合調査」参照)

交通費と就業規則

従業員が常時10名を超える企業は就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る義務がある上、最低限記載しなければならない内容が法律で制定されています。時流や会社の状況により内容を変更したい場合は、その都度届け出なければいけません。

会社は通勤費や交通費の規定を独自に決めることができますが、社会通念上、会社にとっても従業員にとっても不利益のないバランスの取れた常識的な規定でなければ監督官庁に認められません。厚生労働省では、就業規則作成の際の指針となる就業規則のモデルを公開しており、それによると、賃金に関わる各種手当の規定なども詳細に明記する必要があります。

通勤手当の課税について

通勤にかかる交通費支給義務はありませんが、通勤手当として賃金規定の条項として記載されていることが一般的です。通勤手当は会社が義務的に支給しているのではなく、実費の補填や福利厚生費と同義の意味合いで捉えると良いでしょう。通勤手当とは言っても、職能手当や残業手当などとは内容が異なり、所得に含める性質のものではありません。つまり、通勤手当に関しては基本的には課税対象にはならず、限度額の範囲内であれば非課税となるのです。

定期券は有効期間が長期になればなるほど割引率が大きくなります。1カ月ごとに更新するよりも、3カ月や6カ月で更新した方が運賃の節約ができ、その都度窓口や券売機で更新する手間の煩わしさも減らせます。会社から6カ月分をまとめて支給するのでも構わないのですが、定期有効期間内に従業員が退職した場合は、払い戻しをして会社に返金することを明文化した規定も設けておきましょう。

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通勤交通費の計算方法とポイント

従業員それぞれで自宅から会社までの距離や通勤手段が異なる場合、どのように通勤手当を支給したらよいのでしょうか。

公共交通機関で通勤している場合

まずは、電車やバスなどの公共交通機関のみを利用して通勤している従業員の場合を考えてみましょう。従業員本人から、会社までどの経路で通勤するのが最も効率が良いのか、乗換の接続の利便性や運賃などを鑑み最適な経路を申告してもらいます。最寄り駅や乗換方法などを確認して問題がなければ、その定期区間の定期代を通勤手当として支給しましょう。

国税庁では、1カ月あたりの通勤手当の非課税限度額を15万円と規定しています。ですが、グリーン車やタクシーの利用分を入れて15万円に満たなくても、社会通念上経済的かつ合理的な通勤手段とは認められないため、非課税にはなり得ません。

自動車で通勤している場合

自宅や会社が最寄り駅から遠い場合や、鉄道路線などがない場合は、自動車やバイクを利用して通勤する人が多いでしょう。その場合は、就業規則の賃金規定で通勤手当の計算基準を明示しておかなければいけません。支給額を計算する目安として、以下のような計算方法があります。

通勤での往復移動距離 × 1ヶ月あたりの平均労働日数 × ガソリン代 ÷ 平均燃費 = 自動車での通勤手当の目安額

燃費は各自所有する車両により大きく異なりますので、平均燃費を決めて一律に支給すれば良いでしょう。 自動車とバイクでは燃費も異なるため、それぞれ別に設定するのが無難です。 また、ガソリンの価格は常に変動しますが、その都度規定を変更して労働基準監督署に届け出るのも大変ですので、予めある程度多めに見積もっておけば手間もありません。

車両利用の通勤の場合、通勤距離ごとに非課税限度額が設定されています。最新の非課税限度額は、『国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて』をご確認ください。

https://www.nta.go.jp/users/gensen/tsukin/index2.htm

また、通勤に高速道路や有料道路を利用しなければならない場合は、1カ月分の通行料金を足した合計額が非課税限度額となります。ただし、最高上限額が15万円までと決められているのは公共機関利用者の場合と同じですので注意しましょう。

公共交通機関の通勤手当:従業員本人に最適な経路を申告させ、金額を設定
自動車の通勤手当:移動距離・ガソリン代、燃費などを考慮して金額を設定

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出張等で発生する交通費の精算方法と精算時の注意点

通勤交通費はなく、業務中や出張時の移動の際に発生する交通費の支給や計算方法はどうなるのでしょうか。以下、注意点とともに説明します。これらは通勤手当の扱いとは異なり、支給限度額や非課税限度額もありません。

締日を設けて正確&スムーズな精算を

公共交通機関の運賃は、領収証が発行されない場合が多いため、発生した分の費用を精算します。営業などの交通費の請求処理をその都度行っていたのでは、営業担当も経理担当も手間がかかりますので、締日を設定するとよいでしょう。

締日を1週間、10日ごとなど設定することで、精算の遅延を防止します。また、精算業務や費用のチェックなどを正確かつ効率的に行えるようにしましょう。

出張費の精算で気をつけたいポイント

出張の際の交通費は高額になることが多いため、速やかに精算を行えるルールを決めて運用しましょう。宿泊費と合わせて前もって仮払いし過不足分を精算するケースや、実際にかかった費用を一時的に社員が立て替え、後日精算するケースなどがあります。社員の立て替えの負担が大きくならないように配慮することが必要です。

出張費精算の手間から開放される新システムの登場も

立て替えの負担や、精算処理の手間やトラブルを解決するために、システムを利用する企業も増えています。例えばBTMと呼ばれる出張管理サービスを導入した場合、移動手段と宿泊の両方の手配が短時間で行え、費用についても会社に一括請求となるため、出張する社員と経理担当の負担を軽減することができます。出張費の把握にも役立つため、出張が多い企業は導入を検討するとよいでしょう。

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交通費の計算方法や課税方法を理解して正確な処理を心がけよう

経理担当は、会社によっては現金出納や給与計算も兼ねることがあるでしょう。 従業員それぞれで状況が異なるため、最初は大変かもしれませんが、通勤手当の仕組みや旅費交通費の精算方法などは知識として身につけておく必要があります。特に旅費交通費の精算は処理件数も多く手間がかかりますが、トラブルなく正確な処理を心がけましょう。

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